「コンバーテック」誌の連載記事『今さら聞けない!DXのキホンの「キ」』第7回が発行されました
加工技術研究会の月刊誌「コンバーテック」にて新連載「今さら聞けない!DXのキホンの『キ』」の第7回が掲載されました。
「今さら聞けない!DXのキホンの「キ」」
第7回 「バリューアップのDX」とは何か?
<以下、前書きより>
DXは、「進化し続けるデジタルテクノロジーが人々の生活に影響を与え、日々の生活をあらゆる面で豊かに変えていく」という概念である。ビジネスにおいては、データやデジタル技術を活用することによって、製品・サービス、ビジネスモデル自体を変革していくことがDXの目標として掲げられている。DX化は、企業の競争力を高めるだけでなく、BCP(事業継続計画)や中長期的なビジョンの確立にも役立つものであり、大企業だけでなく中堅中小を含めたものづくり、製造業を基幹産業とする日本では特に、工場のIoT化を軸とする「第4次産業革命」をはじめとしたDXの波に乗る必要がある。
“2025年の崖”というインパクトのある副題を付けた経済産業省の「DXレポート」は、日本企業のビジネスのDXを推進する目的で、経産省が指針としてまとめているものである。筆者の前連載「DXがもたらしうる新時代のコンバーティング業界におけるビジネス変革」でも取り上げさせていただき、本連載においても我が国産業におけるDXの指針として何度か紹介させていただいているので、馴染みの読者もおられることだろう。初版の「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~」は、メインフレームをはじめとした企業が古くから運用している「レガシーシステム」がDXの足かせになっており、このままでは2025年以降、急速に深刻化して年間12兆円もの損失を発生させるとの警笛を鳴らした。レガシーシステムと指摘されている「モノリシック・アーキテクチャ」は、分割されていない1つのモジュールで構成されているアプリケーションで、現在ではあまり使われなくなったプログラミング言語を使用しているため、改善できる人材も減少傾向にある。維持コストもかかる上に生産性を向上させることも難しく、企業の成長を妨げる大きな要因となってしまうと言われている。ちなみに「DXレポート」との関係性は不明であるが、「DXレポート」の発表の後に、"崖"の1つの要因であったSAPのERP保守期限が2025年から2027年に延期されたことから、産業界に一定のインパクトをもたらしたのではないだろうか。
「DXレポート」はその後アップデートされ、2022年7月には現時点での最新版となる「DXレポート2.2」が発表された。「DXレポート2.2」は、日本企業のDX推進を妨げている課題にさらに踏み込んだ上で、「デジタル産業宣言」を盛り込んでおり、レガシー文化からデジタル産業への転換を促し始めたことが読み取れる。その中で新たな概念として強調されているのが、今回取り上げたい「バリューアップのDX」である。バリューアップとは「新しい価値の創造」を意味する表現であり、DXとどう結びつくのかがにわかには分かりづらいかもしれないが、筆者としては「バリューアップのDX」こそが、本質的なDXであると考えている。
参考HP:
コンバーテック 2023年2月号